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『響想詩「灯の響影」九』(山里ぽん太 監督)インタビュー

  • 7月30日
  • 読了時間: 5分

更新日:8月1日



Axi(s)Rhythm:

作品制作の経緯についてお聞かせください。


山里:

作品を制作したのは去年の今頃だったと思います。

もともとの発想としては、以前Animation Runs!で上映していただいた『響想詩「光の響影 二」』という作品がありました。あちらは光の柱が垂直に飛んでいく作品だったので、今回は光が水平に飛んでいく絵を作りたいと思ったんです。

水平に飛んでいった光が、その先にあるものを照らすわけですが、「その先には何があるのか」と考えたとき、いろいろなものを登場させることもできました。でも今回は、あえて何も登場させず、一面に草だけが広がる風景にしました。

音楽はクラシックを使用していて、その音楽に合わせて光が動くという、とてもシンプルな作品です。


参加者A:

地面に対して平行に飛ぶ直線の光と、放物線を描く光。その放物線がふわっと上がって、水面に落ちると波紋がすっと広がっていくところが、とても印象的でした。

山里監督作品では象徴的ともいえる水面への反射も美しく、水面に映る放物線の光もとてもきれいだなと思いました。

それからラストで画面全体が暗くなり、手前の草が完全にシルエットになってトゲトゲと浮かび上がるところも、とても美しかったです。


山里:

確かに、私は水面ばかり描いていますね(笑)。

CGを始めた頃から、「水面」と、そこへ音楽に合わせて波紋が広がる表現を作りたいと思っていて、そればかり作っている気がします。

それから、水平に飛ぶ光と放物線を描く光は、音楽の中の音の違いによって描き分けています。

楽譜を見ながら、「この音は水平に飛ばす」「この音は放物線で飛ばす」と決めているんです。

水平に飛ぶ光はどこまでも飛んでいきますが、放物線を描く光は水面に落ちて波紋を生む、そういう構成になっています。


参加者B:

CGを前面に押し出した作品ですが、音楽も含めた見せ方や、アップから引いていくカメラワーク、そういったリズムの作り方から、とても自然な日本の夏を感じました。

こういうタイプのCG作品は個人的にはあまり見たことがなく、不思議と懐かしさも感じられて、ノスタルジックな気持ちになりました。


山里:

私が住んでいるところは本当に田舎なんです。

こういう草むらもまだ残っていますし、昔はもっとたくさんありました。

草むらがあって、その下には湿地帯が広がっていて。でも開発が進んで、田んぼや宅地になり、そういう風景はどんどん減ってしまいました。

私はもう結構いい年齢なんですが(笑)、子どもの頃に見た風景は今でも強く残っています。

草と竹しかないような草むらがあって、ぬかるんだ地面には昆虫がいて、それを目当てに鳥が集まってくる。そんな風景ですね。

手描きではなく、こういう少しチープなCGだからこそ、自分の中から自然に湧き上がってくるものが、そのまま作品に反映されているのかなと思っています。


参加者B:

最後に表示される詩も、山里監督ご自身が書かれているんですか?


山里:

はい。最後の詩は私が書いたオリジナルです。

今回は、本当はもう少し柔らかい詩を書きたかったんですが、少し強い表現になってしまいました。


Axi(s)Rhythm:

以前お話を伺った際、「響想詩」シリーズでは作品によって、詩が先に生まれる場合と最後に生まれる場合があるとお聞きしました。

この作品では、どちらだったのでしょうか。


山里:

この作品では詩は最後に完成しました。

完成した映像を見ながらイメージを膨らませて、言葉にしていきました。


参加者C:

途中から光が直線ではなく放物線になる場面がありますよね。

私はそこがとても好きでした。

直線の光にはどこか強さや攻撃性、一直線に進むような印象があるんですが、放物線になった瞬間に作品全体が柔らかく、穏やかな雰囲気へ変わるように感じました。

直線か放物線かという違いだけで、作品全体の印象がここまで変わるんだなと思いました。


山里:

先ほど、「今回は詩が少し強い表現になった」とお話ししましたが、それは「まっすぐ飛んでいく光の強さ」とも重なっているんです。

この作品全体を通して、自分なりに少し主張したいことがあって、それが詩にも絵にも自然と表れてしまったのだと思います。


参加者D:

黒の表現が本当にきれいでした。

私もかなり田舎の出身なので、すごく既視感があって、この雰囲気がとても好きでした。

テレビで見ていたんですが、部屋の明かりを全部消して鑑賞すると、本当に田舎で街灯一本だけが周囲を照らしているような、そんな夏の夜の風景を思い出しました。


山里:

この草むらの風景は日本の風景ですが、もしかしたら日本に暮らす人それぞれが、心のどこかに持っている風景なのかもしれません。

それを意識して作ったわけではないのですが、その風景が心に響かれたのだと思うと、とても嬉しいです。


参加者E:

事前アンケートには「小説のような作品」と書きました。

なぜそう感じたのか、自分でも考えながら見ていたんですが、今日、山里監督のお話を聞いて納得しました。

小説は文章だけで読者に情景を想像させますよね。

山里監督の作品も、映像だけを提示しながら、その先を観客自身に想像させる力がある。

そこが山里監督らしい作家性なのかなと思いました。


山里:

こちらも、まさに「響想」ですね。

そう感じていただけたことが、本当に嬉しいです。

〔2026年7月18日(土)オンラインミーティング より〕


【文責:Axi(s)Rhythm】



 
 
 

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