top of page
検索

『響想詩 灯の響影 五』(山里ぽん太 監督)インタビュー&感想

  • 5月1日
  • 読了時間: 4分


Axi(s)Rhythm:

作品制作の経緯についてお聞かせください。


山里:

まず、僕は音楽を演奏して、その音楽に合わせて画をつけてフィルムにする、ということをやっています。それで作ったものに《響想詩》という名前を付けて発表しています。

今回の『灯の響影 五』なんですけど、まず曲が、アントン・ウェーベルンというオーストリアの作曲家の書いた「変奏曲」で、どこが変奏曲なのか分からないくらい前衛的な曲なんですが、これを発見してさっそく弾いてみたんですね。

で、ちょっと面白い感じだったので、「これに画をつけてみよう」と思って作りました。

ウェーベルンは、アルノルト・シェーンベルクやアルバン・ベルクと一緒に、20世紀初頭の前衛音楽を模索していた作曲家です。こういう変わった音楽を作っているんですが、余談ですがロマン派的ないい曲もあって、「Slow Movement For String Quartet」(1905)という作品があります。

それで画の方は、ピアノのポンポンという音に合わせて、火花がパチパチ出るようなものにしています。非常に単調でシンプルで、言ってみれば手抜きと言われても仕方がない内容なんですが(笑)、それが最後に灯になる、という流れになっています。

ご覧の通り、上から下に火花が落ちていく構成で、縦長の画になっているんですが、それを横長の16:9フレームにどう収めるかというのは一つ工夫したところです。それから最後のロウソクの形状も、どうするか考えました。


参加者A:

どんなふうに作っていらっしゃるのかなと思いました。


山里:

手法は3Dです。3Dというと「Blender」を思い浮かべる方が多いと思うんですが、僕は「Houdini」というソフトを使っていて、基本的には計算とプログラムで作っています。

音楽はDTMのシーケンサーで演奏していて、そこからMIDIデータを取り出して、そのデータで3Dオブジェクトを動かしています。なので音楽と画は完全にシンクロしています。

プログラムだけではなくて、3Dのモデリングもやっています。僕は画を描くと言っているんですが、プログラムで画を動かしている感覚ですね。


参加者A:

クロスしている部分がすごくシンクロしていて、どうしているんだろうと思いました。


参加者B:

技法も気になったんですが、ロウソクや灯をモチーフにしている点について、音の残響と映像の残り方の違いというか、そういうものを感じました。

映像は光の問題でもあるので、灯のような抽象的な光を扱うことで、映像のミニマムな原理を感じさせる部分もあって。

音楽から発想されているということで、音と光と映像の関係にとても関心を持って観ることができました。


山里:

おっしゃる通りです。音楽を聴いて、そこから浮かんだイメージを画にしているので、その通りだと思います。


参加者C:

すごく美しい映像だと思いました。火花――花火のようにも見えたんですが、それが最後に灯として着地したときにすごく腑に落ちたというか。「光は消えてしまうのかな」と思いながら見ていたので、それが消えずに残ったことに嬉しさを感じました。

山里監督のこれまでの作品は、幻想的で美しくて、ふっと消えていく印象があったんですが、今回は「着地して残った」という感じがして、個人的にとても印象に残りました。


山里:

それについては、今回上映された池端監督の『七つのわたしへ』にも通じるものがあると思っています。

着地するということは、神様のところから人間のところへ来るということでもあって、「七つになる」という感覚に近いなと思いました。


参加者D:

最初、波紋のようなものがあって、よく見ると羽毛のように上がっていくように見えて、静寂な空気を感じました。あれは何だったのか気になりました。


山里:

羽毛に見えましたか。それは多分、僕の画力のなさです(笑)。

そういう見え方は想定していなかったので、新鮮です。自分では思っていなかった受け取られ方なので、ちょっと戸惑っています。


Axi(s)Rhythm:

抽象表現なので、見る人によって解釈が変わるのが面白いところですよね。私も羽毛のような印象を受けました。


山里:

形状が涙型というか帽子のような形なので、それが羽毛に見えたのかもしれません。

落下を表現しているんですが、背景がないので上昇にも見える。それはちょっと思ってもみなかった感想です。


Axi(s)Rhythm:

もう一点、これまでの作品は奥行きや横方向の動きが印象的でしたが、今回は上下の動きに徹しているのが特徴的だと思いました。


山里:

今回は、火花が高いところで弾けて、それが下に落ちてロウソクになる――つまり天から地上へ落ちる、というイメージがありました。それで上下の動きにしています。

落下距離はソフト上の設定ですが、だいたい3000mくらい落ちているので、かなりの落差なんです。

〔2025年10月23日(木)オンラインミーティング より〕


【文責:Axi(s)Rhythm】

 
 
 

コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。

©2024 Axi(s)Rhythm

bottom of page